『光』

おぼろげな朝にふり返ると
立木がゆれていた
そこにおとなしい彼がやってきていて
わたしもとなりに腰かけた

ひとこと
ひとこと

彼は言葉を口にしたけれど
意味以上のものがわからない


わたしはできうるかぎり
耳を大きくして
ペッタリと彼にくっつけるようにして

彼もわたしにピッタリと身を寄せて
耳にくちびるを当てて
大きく口をあいて

けれど聞こえるのは
木のおとだけ
さやさやさや

湿った土のにおいと
樹皮のかおり
彼の肌ざわり
しずかに響き渡る


意味以上のものがわからないけれど
わたしは彼に触れていた

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