『不落』

あなたはとても辛い

しかし 押しも押されもしない

 

わたしはすごく悲しい

しかし 押しも押されもしない

 

彼はひどく怖れている

しかし 押しも押されもしない

 

彼女は実に苦しんでいる

しかし 押しも押されもしない

 

私たちみな 足元がおぼつかないよう

しかし

押しも押されもしないのだ

 

この生は

あなたの生は

根を張っている

 

嵐に見舞われ

風にも巻かれるだろう

夢に満ちて

ともに羽ばたくだろう

 

背を見つめ 追い

宙へ走り 待ち

つかめば 血肉となり

流れ

どこまでも 広がってゆく

 

中心まで

身体の奥まで

こころの隅まで

あなたの生は

沁みわたっているのだから

 

押しも押されもしないのだ